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− は じ め に −

 このSSは新世紀エヴァンゲリオン劇場版「Air/まごころを君に」を元にして創作されています。

 まだ鑑賞されてなく、内容に触れたくない方には戻ることをお勧めします。

 なお、前記劇場版を鑑賞されていない方には理解しがたい表現が含まれております。

 バックに流れている「Air」は402号室のあさおかさんの御厚意により使用の許可を頂きました。

 あさおかさんの402号室はこちらです。

 一画面ほど空けたところから始まります。
                                                           



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 





 
 
Wrote by H I D E
Music by あさおか




 
呆けたように窓の外を眺めやる女性。

その口から漏れる呟き。

「生きてるのね、出来損ないの群体のまま・・・。」

病室の入口では信じられないような顔をした医師と看護婦が佇んでいる。

「済みません、ちょっと通して下さい!」

それらをかき分けて前へ進み出る少年。

その手にしっかりと握られた銀の十字架。

その声を聞いた女性の瞳に思い出したように光が蘇る。
 
ゆっくりと首を巡らせる。

「シンジ君・・・?」

ミサトがそう呟くと同時に、少しだけ逞しくなったシンジの身体は母にすがる子のように彼女にしがみついた。

ミサトの胸元を涙で濡らしながら発せられる、嗚咽混じりの声。

「ミサトさん、よかった・・・。本当によかった・・・。」

ミサトを担当していた看護婦が二人を除く全員を促して病室を出る。

閉まる扉。
 
 

「シンジ君・・・。」

ミサトはシンジの頭を優しく撫でる。

「ごめんね、シンジ君。」

そう言ってシンジを抱きしめたミサトの目の端に光る、涙。

そして、重なり合う唇。
 
 

 
 
長いキスを交わし、落ち着きを取り戻した二人。

枕元の椅子に腰掛けたシンジに向かい、ミサトが口を開く。

「あのあと、何があったのか、話してくれる?」

シンジはミサトの瞳をしっかり見据えて頷くと、ゆっくりと話し始めた。

「僕にもわかりません・・・。気が付いたら僕は地上にいて、赤い雨が降っていました。」

「赤い雨?」

「ええ・・・、血の臭いが、しました。」

「そう・・・。」

シンジの言葉だけでは理解し難い。

だが、一つだけ確実なことがある。

人類補完計画の失敗。

自分がここにいることがその証。

少し落胆したようなミサトの表情に申し訳なさを感じたシンジが頭を下げる。

「役に立てなくて、済みません。」

「いいのよ、シンジ君。で、それから?」

そう言ってミサトが先を促したとき、病室の扉が開いた。

現れたのははち切れんばかりの明るさと生命力を持ち合わせた愛らしい少女。

重くなりかけていた病室の空気は清涼な一迅の風に吹き飛ばされた。

「ちょっとシンジ!置いていくなんて酷いじゃ・・・」

そこまで言ったところで、ベッドに身を起こしているミサトと目が合う。

驚きに目を瞠る二人。

先に声をかけたのはミサトの方だ。

「アスカっ!無事だったの?!」

ミサトは左だけ色の違うアスカの瞳が気になったが、敢えて言及はしなかった。

おそらく、あのときの後遺症だろう。

口に出してしまっては、アスカの性格からして、彼女を傷つけてしまうのは明らかだった。

だが、アスカは済まなそうに俯くだけだ。

「初めまして・・・じゃないわよね。ごめんなさい、わからないの・・・。」

いつものような冗談半分の皮肉を期待していたミサトの笑顔は凍り付いた。
 
 

「ごめん、アスカ。少し二人っきりにしてくれないかな?」

憤慨して口を開きかけるアスカ。

置いてけぼりにされた上に着いた途端にこれではアスカでなくとも腹が立とうと言うものだ。

だが、シンジの真剣な瞳に射すくめられ、その口を閉ざした。

抱えていた花束をシンジに押しつけ、きびすを返す。

その態度からは触れるだけで火傷してしまいそうなほどの怒りが感じられた。

「私、帰る!好きにすればっ!」

そう言いながらも扉の前でシンジが引き留めるのを待っていたアスカだったが、それが無駄なことを悟るとひとつ鼻を鳴らして病室を後にした。
 

 

* 
 
 
シンジは無言で花を花瓶に移し替えている。

その背に向かってミサトが質問する。

「どう言うこと?」

「見ての通りです。アスカは、記憶を無くしています。」

「あの左目は?」

「失明してます。」

淡々と答えるシンジ。

花を移し終えたシンジは、再びベッドの脇にある椅子に腰掛けた。

「医学的には何も問題はないそうです。それで精神科にも行ってみたんですが、先生は『無意識下で見えないものと決めつけている節がある。深層心理に残る過去の記憶が視神経の伝達を妨げているんじゃないか?』って言ってました。」

ミサトはしばらく考え込んでいたが、やがて確信を持って呟いた。

「・・・と言うことは、アスカの記憶が戻る可能性があるってことね・・・。」

シンジは少し驚いたような顔をしたが、ミサトの言葉を理解すると寂しげに肯定した。

「・・・ええ。その時は彼女の左目にも光が戻ると思います。」

ミサトから目を逸らし、俯くシンジ。

だが、すぐに顔を上げると、明るい声を出す。

「今はね、一緒に暮らしてるんです。」

対照的に険しくなるミサトの表情。

「二人で?」

「ええ。」

本当に嬉しそうに頷くシンジ。

だが、ミサトはそんなシンジを冷たい視線で睨み付ける。

「あなた、自分が何をしているのかわかっているの?」

シンジには何故ミサトが怒っているのかわからない。

不思議そうにミサトの顔を覗き込む。

ミサトは怒りが沸々と湧き上がってくるのを感じていた。

シンジの胸ぐらを掴み、引き寄せる。

「自分の寂しさを紛らわせるためだけに、何も知らないあの子を慰みものにしているんじゃないのか?って聞いてるのよ!」

シンジが言葉の意味を理解するまでしばらく時間がかかった。

やがてその意を悟り、責めるようなミサトの瞳から顔を背ける。

「ミサトさんにはわからないんだ・・・。僕がどれだけ寂しかったかなんて・・・。」

聞こえるか聞こえないかの小さな声。

「だから利用するの?!本当のアスカが相手にしてくれないから?記憶を取り戻したときに傷つくのはあの子なのよっ!」

「・・・利用してなんかいません。僕は、彼女を愛しています。」
 
「愛してるですって?!笑わせないでよ!人に愛されたことのないあなたに、他人を愛することが出来るとでも思っているの?!」

シンジは雷に撃たれたように一瞬震え、何かにおびえるような瞳を再びミサトに向けた。

「ミサトさんは、僕を愛してくれていなかったんですね・・・。ミサトさんが言うように、僕を利用していただけなんですか?」

シンジに掴みかかっていたミサトの手から力が抜ける。

シンジのすがるような視線に耐えられずに顔を背ける。

「ごめんなさい。言い過ぎたわ・・・。」

「・・・いいんです。それと・・・、」

差し出されるシンジの手。

その上で鈍く光る銀の十字架。

「これ、お返しします。大切な物なんでしょう?」

躊躇いがちに伸ばされるミサトの手。

だが、それはシンジの手に触れる直前で引き戻された。

「それは、シンジ君が持っていて。」

「いいんですか?」

「ええ。」

「ありがとうございます。結構気に入ってたんです、これ。」

嬉しそうに微笑むシンジ。

その頬に伸びるミサトの手。
 
 

「ねぇ、もう一回・・・。」
 
 

再び重なる唇。

互いを求めるように絡み合う舌。
 
 

やがて混ざり合った唾液が名残惜しげに糸を引く。

「上手くなったわね。」

「いつまでも子供じゃありませんよ。」

「続きは・・・、いらないわね?」

「ええ、アスカがいますから。」

少し恥ずかしそうに目を逸らすシンジ。

「それと、一つ聞きたいんですが・・・、寂しいから求め合う、って言うのは、愛じゃないんですか?」
 
 

石のように硬直したミサトの、その瞳から流れ落ちる涙はシンジの言葉を肯定していた。

「・・・私、あの子に嫉妬していたのかも知れない。嫌なこと全部忘れて、シンジ君に愛されて・・・。」

「僕はミサトさんのことも愛しています。家族として・・・」

それだけ言って、背後に扉の開く音を聞いたシンジはミサトをいたわるように微笑んだ。

「それに、ミサトさんを愛しているのは僕だけじゃありませんよ。」

振り向いたシンジの視線の先には、花束を抱えてばつが悪そうに佇む青年がいた。

「僕、そろそろ帰ります。アスカが待ってるから。」

無造作に立ち上がるシンジ。

そのシンジにミサトは優しく微笑みかける。

初めてシンジに会った日にそうしたように。

「そう、辛いかも知れないけど、頑張ってね。」

シンジはミサトに向かって無理に微笑んで見せる。

それがミサトを傷つけることになるとは気付かずに。

「もう、慣れました。」
 
 

* 
 

僅かな沈黙を破ってミサトが口を開く。

シンジの代わりにミサトに寄り添うのは、眼鏡をかけた青年。

「ねぇ、日向君。私、どれくらい眠っていたの?」

「そうですね、だいたい半年と言ったところでしょうか。」

ミサトは窓の外に視線を向けた。

小さくなっていくシンジの背中が見える。

「・・・生き残った私たちは、運が良かったのかしら?」

「さあ・・・?でも、少なくとも僕はついさっきまで自分が世界で一番不運な男だと思っていました。」

それを聞いたミサトは小さな含み笑いを漏らす。

「じゃあ、今は?」

「世界で一番幸運な男ですよ。こうしてもう一度、あなたの笑顔が見られるんですから。」
 

 

 

「利用してるだけ、か・・・。そうかも知れないな・・・。」

シンジがそう呟いたとき、無機的な音がエレベーターの到着を告げた。

「どう見たって15、6じゃない?兄妹には見えないし・・・」

「そうそう、時々怪しい男が嗅ぎ回ってるしねぇ・・・」

エレベーターの扉が開き、シンジの耳に入ったのは主婦たちのそんな会話。

シンジに気付いた主婦たちは一斉に口をつぐむと、シンジを避けるようにして歩き出す。

彼が住んでいるのは政府が用意した公共団地。

普通に会社勤めをしている家庭が圧倒的に多い。

そんな中でどう見ても高校生以上には見えない二人が同棲している。

嫌でも人目を惹いた。

その上、政府側の監視もあいまって、ありもしない噂が立つことは日常茶飯事だった。

極力気にしないようにしているが、時折自分たちを監視する目が鬱陶しいのも確かだ。

まだ学校へ通うことも許されていない。

ただ、生活に関しては政府に頼らざるを得ない。

しかしながら、それらを差し引いてもシンジは幸せだった。

アスカが側にいる。

彼を愛してくれる。

この生活がずっと続くと信じていた。

ミサトにアスカの記憶が戻る可能性を指摘されるまでは。
 
 

* 
 
 

「おかえり〜。早かったじゃな〜い。」

腕組みをし、仁王立ちでシンジを出迎えるアスカ。

「・・・口紅、ついてるわよ。」

驚いたように口元に手をやるシンジ。

アスカの柳眉が吊り上がる。

「やっぱり・・・。あんたバカぁ?!目を覚ましたばっかりの病人が口紅なんてつけてるわけないじゃない!これはあれね。浮気よ、浮気!私というものがありながらっ!」

喚き散らすアスカを呆けたように眺めやるシンジ。

そのすべてが愛おしい。

「ちょっと、聞いてるの?!」

迷いは消えた。

「ちょ、ちょっとシンジ!こんなんじゃ騙されないわよっ!」

アスカを力強く抱きしめるシンジ。

溢れる涙は落ちるに任せた。

「もう絶対に放さない!たとえ君が僕を捨てても、憎んでも、絶対に離れない!僕にはもう、君しかいないんだ・・・」

「い、いきなりなに言ってんのよ!いいから放しなさ・・・ん・・・。」

シンジはアスカの唇を強引に塞ぐ。

アスカの口腔内で狂ったように蠢くシンジの舌。

アスカは押し寄せる快感に堪え切れず、シンジに身を任せた。
 
 

やがて、ゆっくりと距離を取る唇。

「どうしたの?シンジ。何かあったの?」

情熱的なキスの余韻に目を潤ませながら、アスカは優しく問いかける。

だが、シンジはそれには答えず、荒々しくアスカの服を剥ぎ取った。

「ちょっと、やだっ!昼間っから・・・」

再び塞がれる唇。

身体中を這い回るシンジの指。

アスカは抵抗をやめた。

玄関先で二人は愛し合った。
 
 

 
 

「もう、強引なんだから・・・」

精魂尽き果てるまでアスカに愛を注ぎ込んだシンジは、疲れて眠っていた。

「こんなとこで寝てると風邪引くわよ。まったく、可愛い顔しちゃって・・・。」

そう言いながらシンジの頬をつつく。

「・・・やめろよ、アスカ・・・」

寝惚けてそれを振り払うシンジ。

それを見てアスカは天使のような笑みをこぼす。

「変われば変わるもんね。ちょっと前まではこんなんじゃなかったのに・・・。」

そう言いながら脱ぎ散らかされた服を拾い集め、シャワーを浴びるため、バスルームに向かう。

アスカはバスルームに入る直前に振り返り、部屋の隅を睨み付けた。

正確には巧妙に偽造されている監視カメラで、いやらしく覗き見しているであろう政府の諜報部員を、だ。

アスカはしばらくそうしていたが、やがてあきらめたように目を逸らす。

覗き見される不快感と、シンジに愛される悦び。

どちらが重いかは天秤にかけるまでもかった。

ふと先ほどのシンジの言葉が思い出される。

「君しかいないんだ、か・・・。私も同じね。悔しいけど・・・。」

持っていた服を洗濯籠に放り込み、バスルームの扉を開ける。

「あっ、そうそう。今のうちに・・・。」

思い出したようにそう呟いて、洗面所の鏡に向かった。
 
左目に伸びる小指。
 
指先に張り付く偽りの心。

「これって結構めんどくさいのよね。そろそろやめようかな?」

そう呟いてバスルームに消えたアスカの左目は、宝石のような輝きを放つ、吸い込まれるように深い蒼だった。
 
 

 
 

初めてシンジに抱かれた夜、アスカは夢を見た。

異形の化け物に陵辱され、生きながらにして食われる夢。

「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺して・・・」

そこで目が覚めた。

空を掴むように伸ばされた手。

彼女の左目にかかっていた霧は涙が洗い流していた。

隣で立てられている小さな寝息。

押し寄せる不快感。

キッチンからナイフを持ち出し、寝室に戻る。

シンジに背を向け、ベッドに腰掛ける。

ここで死ぬのはシンジに対する無言の抗議。

血塗れになった自分を見てシンジがその罪に気付くように。

アスカは夢遊病者のような緩慢とした動作でナイフを手首に当てた。

そして、右手に力を込めたとき、眠っているはずのシンジが声が聞こえた。

「・・・行かないで・・・アスカ・・・」

驚いて振り向くアスカ。

そこには胎児のように身体を丸めて眠るシンジがいた。

「寝言、か・・・。」

焦点の定まらぬ瞳で、その寝顔を眺める。

「・・・もう、どこにも行かないで・・・」

こみ上げる吐き気。

だが、シンジの枕に大きく広がっていく涙の染みを見たとき、アスカにこれまで持ち合わせていなかった感情が生まれた。

保護欲。

母性本能。

私が死んだらこいつはどうなるんだろう?

おそらくは、死ぬか、壊れるか。

生きる価値を失った人間がどうなるか?

それはアスカが一番よく知っている。

自分に生きる価値を見いだした男。

自分がいなければ生きられない男。

初めて他人に心を開いたひとときが思い出される。

そのときのアスカはアスカではなかった。

しかし、その行為に偽りはなかった。

シンジはアスカを愛し、アスカはシンジを求めた。

間違いなく彼女は幸せだった。

生まれて初めて与えられた安らぎ。

もう一人のアスカは、白紙の状態で知り合った碇シンジと言う少年を確かに愛していた。

お互いに頼るものがいなかったせいもある。

だが、シンジはアスカにだけは心を開き、惜しみない愛を与えてくれた。

「惣流・アスカ・ラングレーともあろう者が、堕ちたものね。」

アスカは指先でシンジの涙を拭い、再びベッドに潜り込んだ。
 

 

 
 

『ちょっと出かけてくるわ。すぐ戻る。』

シンジとアスカがひとつになった翌朝、シンジの枕元に残されていたのは下手くそな字で書かれた書き置きだった。

「何なんだよ・・・」

せめておはようのキスくらいは・・・。

シンジの淡い期待は木っ端微塵に打ち砕かれた。

しかし、アスカの気紛れは今に始まったことではない。

記憶を失っても性格は変わらない。

それがシンジにとっての数少ない救いだった。

自信と生命力に満ち溢れて、輝いているアスカが好きだったから。

シンジはひとつため息をつき、身を起こす。

顔を洗い、朝食の支度を始める。

別にいつもと変わらない朝。

ただ、食卓に並べられた皿は朝食にしては少々多すぎると思われた。

「たっだいま〜!」

胃がもたれてしまいそうなほど豪華な朝食が出来上がった頃、早朝には少しばかり近所迷惑な明るい声。

「どこに行ってたんだよ。朝っぱらから。」

「ちょっとね。」

アスカはそう言って悪戯っぽく微笑み、シンジの首に手を回す。

そして、軽く唇を重ねた。

「ごめん、忘れてたわ。おはようのキス。」

「えっ?う、うん。おはよ。」

驚いたように挨拶を返すシンジ。

その頬は少し赤い。

「な〜に照れてんのよ、今更。あっ、おいしそ〜!」

騒がしく食卓についたアスカの左目にはいつものように霧がかかっていた。
 
 

 
 

耳に流れ込む水音にシンジは目を覚ました。

「アスカ・・・?」

バスルームから流れてくる水音は丁度そこで止まる。

「シャワーか・・・。ちょっとやりすぎたかな・・・?怒ってるだろうなぁ・・・。」

寝惚け眼で頭を掻くシンジ。

記憶を失ったアスカも性格は変わらない。

シンジの方は少しばかり変わっていたが、尻に敷かれた生活であることは誰の目にも明らかだ。

やがて、真っ赤なタオルを一枚巻いただけのアスカがバスルームから現れる。

「ようやくお目覚め?バカシンジっ!」

そう言ってアスカはシンジに向かって軽くウィンクをしてみせる。

「あれ・・・?僕、まだ夢でも・・・」

「何ぼけぼけっとしてんのよ!ホント、そう言うところは昔のままね!」

シンジには目の前の光景がまだ信じられない。

確認するように問いかける。

「アスカ・・・なの?」

アスカは自慢げに両手を腰に当て、思いっきり鼻を鳴らした。

その深淵の湖水のような光を湛える双眸で、シンジを睨み付けながら。

「あったりまえじゃない!私は惣流・アスカ・ラングレー!元エヴァンゲリオン弐号機専属パイロットにして、世界を救った英雄よっ!」

その拍子にアスカの身体に巻き付いたタオルが落ちる。

「きゃあっ!エッチ!痴漢!へんたぁいっ!」

シンジの顔にめり込むアスカの足。

「何すんだよ!そっちが勝手に見せたんだろ!それに今更・・・」

アスカは落ちたタオルを拾い上げ、再び巻き付ける。

そしてシンジに詰め寄った。

「乙女の素肌はそれくらい貴重なものなのよっ!」

触れるか触れないかの距離で睨み合う二人。

やがて二人同時に吹き出した。
 
 

狂ったようにひとしきり笑った後、シンジはアスカを包み込むように抱きしめ、穏やかな表情で言った。
 
 

「おかえり、アスカ。」
 
 

アスカは少し頬を赤らめて俯き、普段の彼女からは想像できないほどの小さな声で応えた。
 
 

「ただいま・・・。」

 
 

  - Fin -
 

Ver.-1.00
ご意見・ご感想・勘違いの指摘・うろ覚えへの抗議HIDEまで!
「Air」に感動したそこのあなた!君は僕と同じだね。今すぐメールをあさおかさんまで!

<あとがき>

僕が今一番怖い言葉。

それは・・・。

「レイはどうした!」

あああっ!アヤナミストと吹聴しながらこんなもの書いてしまうなんてっ!

LASもここに極まれり(笑)。

もしかしたら、どっちでもいい人なのかも・・・。

うををっ!節操なし。

しっかし、今回は疲れました・・・。

燃え尽きたって感じですかね。

僕の作品群の中でも、自分の中ではこれがトップです。

あさおかさんのMIDIの力が大きいところですが・・・(笑)。

取り敢えず僕は救われました。

何とでも言いやがれ!庵野秀明!
 

 

えっ?あっ、はいはい小包ですか?

ハンコはここでいいですね?

ええと、日向さんから?

おおっ、エビチュの詰め合わせ!

うんうん、なかなかの好青年じゃないか。

ええと、こっちは・・・

赤木リツコ?!
 

ちゅどーん!!
 
 
 
 

今回もバックミュージックを提供していただいたあさおかさん。

本当にありがとうございました。

あさおかさんの402号室はこちらです。 


 HIDEさんの『まごころなんて、いらない』-B Part- 、公開です。
 

 HIDEさんはアヤナミスト?
 うっそだぁ!(笑)

 素晴らしいLASをありがとうございます(^^)
 

 生き残った人たちの
 生き残った女性達のその後。

 アスカは幸せ(^^)
 ミサトもしあわせになりそう(^^)

 ・・・レイは(^^;
 ・・・リツコは(^^;;;;;
 

 HIDEさんのご冥福を祈りましょう・・・

 

 

 月丘さんもそうでしたが、
 めぞんに来ると[アスカvsレイ]メーターがアスカに傾く傾向があるのかな・・・

 この調子で行くと、
 綾波光さんがLASを書くのも時間の問題!?

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 LAS作家(^^;HIDEさんに感想メールを送りましょう!


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