〜本当のわたし〜
ちゅん、ちゅん
雀の鳴き声の聞こえる穏やかな朝・・・・・それは、いつもの朝のようでいて、ちっともそうではなかった・・・。
シンジがいつものように軽く欠伸をしながらキッチンに向かうと、アスカが彼より早くそこにたっていたのだ。
「・・・?な、何で・・ア、アスカが?・・」
「あら、シンジ様おはようございます。」
「へ?・・・シンジ様って・・・?」
「もうすぐ朝食ができますから、お座りになってお待ちください。」
「え?、ううん・・・」
どういうことか戸惑っているシンジをよそに、アスカは手際よく朝食の用意をしている。
シンジはテーブルに座ると、アスカの変貌した理由を考えていた。
そして、シンジは昨日の夜のことを思い出していた。
昨日の夜。
「シンちゃん、悪いんだけどこれから、仕事に行かなければならないの。帰りは明日の夕方になると思うから、お金はここに置いておくから適当にやってちょうだい。」
そう言って、財布をテーブルの上に置く。
「はい、わかりました。」
「じゃあ、行って来るけど、私がいないからってアスカと変なことしちゃ駄目よ。」
「な、な、何を言ってるんですか、ミサトさん。」
「ふふふ、じゃあ、いってきます。」
「いってらっしゃい。」
ミサトを見送ったシンジは、テレビを見ているアスカに声をかける。
「これからどうする? アスカ。」
「あたし、今日は疲れたから寝るわ。」
「え? でも、アスカ・・・」
「何よ。何か文句でもあるの?」
「い、いや、べつに。」
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみ。」
時計を見ると、まだ9時をすぎたばかりだった。
考え事をしていたシンジを、アスカの声が現実に引き戻す。
「できましたわ。シンジ様。」
「え? あっ、うん。」
(夕べは特におかしいところは無かったよな。)
「どうしたんですか?」
「えっ、いや、なんでもないよ。じゃあ、いただきます。」
シンジはアスカの作った料理を一口食べる。
「どうですか?」
「うん、おいしいよ。」
「よかったぁ〜。」
「本当においしいよ。アスカって、料理が上手だったんだね。」
「そ、そんなぁ・・・」
アスカは少し顔を紅くして、うつむく。
シンジはその仕草に見とれる。
(か、かわいい・・・)
もうシンジにとって、アスカがいつもと違うと言うことは関係なかった。
その時、アスカはこんなことを考えていた。
(ふっ、ふっ、ふっ。シンジにおいしいって言わせたわ。作戦は成功ね。)
今から、3日前。
学校の教室では、アスカがため息をついていた。
その理由は簡単。
シンジが綾波と一緒に先生に呼ばれて、教室にいないのだ。
「どうしたんや、惣流。ため息なんてついて。シンジのことでも考えとったのか?」
元気のないアスカにトウジが声をかける。
「そ、そんな訳無いでしょ、バカトウジ。」
思いっきり否定するが、顔を紅くしていたんでは説得力はない。
「そう、冷たくするなよ。俺達だって友達だろ。相談にのるぜ。」
横にいたケンスケも話に入ってくる。
「なんでもないって言ってるでしょ。」
「碇のことだったら、いい方法があるぜ。」
「え? な、なによ?」
「フフッ、のってきたな。あの鈍感で奥手の碇の方から、惣流に告白をさせる方法だ。」
「そ、そんな方法があるの?」
普段なら、ケンスケの作った案なんて、聞く耳をもたないアスカだったが、ケンスケの言った事は、今のアスカにとって一番望むことだった。
「ああ、あるぜ。ただし、これを教えるには一つだけ条件がある。」
「なによ?」
「惣流の普段着の写真を一枚撮らせること。」
「わ、わかったわ。ただし、その方法が成功してからよ。」
「よし。じゃあ、まず、惣流が碇の朝御飯をつくる。それと、言葉遣いをもっとおしとやかにする。それだけで、碇は絶対に惣流に告白してくるぜ。」
「ほ、ほんとうにそれだけで?」
「ああ。男は普段みない部分を見せられると、その子のことがすごく気になり始める。碇とて例外じゃない。まして、惣流がおしとやかにしてみろよ。鈍感な碇だって、もうメロメロだぜ。」
「わかったわ。やってみる。」
その日から、アスカはヒカリの家に通った。
料理と言葉遣いの練習をするために。
(ケンスケの言った通りだったわ。こんなにうまく行くとは思っても見なかったわ。このままいけば、本当にシンジの方から告白してくるかも。)
今度はシンジがアスカを現実へ引き戻す。
「ごちそうさま。おいしかったよ。」
「本当ですか? じゃあ、お昼は何を食べたいですか?」
(けっこう、疲れるわね。)
だが、そんなことは一切顔にはださない。
ここまで来ると、天才と呼ばれるだけのことはあるとおもわされる。
「え? お昼も、アスカが作ってくれるの?」
「ええ、もちろんですわ。何がいいですか?」
「アスカが作るものだったら何でもいいよ。」
(ヒカリの言ってた通りだわ。何を食べたいか聞けば、シンジは何でもいいって答える。いくら料理が苦手だからって、朝昼晩の三食だけならおいしいものを作れるわ。)
「じゃあ、楽しみにして待ってて下さい。」
「うん。」
シンジは食器を片付けるアスカの背中に見とれていた。
(なんか、新婚夫婦みたいだよな。)
食器を片付けたアスカは、昼御飯の支度に取りかかっていた。
その時、ちょっとした不注意から、火を触ってしまった。
「きゃっ・・・」
その声にシンジが飛んでくる。
「どうしたの?」
「いえ、ちょっと火傷を。」
「見せて。」
半ば強引にアスカの手をとる。
「あっ・・・」
シンジにいきなり手を握られ、驚きシンジの顔をみる。
すると、目があってしまう。
普段はシンジが目をそらすのだが、今日のシンジは違っていた。
しばらく、見つめ合う二人。
沈黙を破ったのは、シンジだった。
「ア、アスカ・・・・僕は、その、・・・・アスカの事が・・・・アスカの事が好きだ。ぼ、僕と・・・・付き合ってくれないか?」
「は、はい・・・」
(やった〜。シンジから告白してくれた。)
「ア、アスカ・・・・キスしてもいいかな?」
アスカは小さくうなずき、目をつぶり少し上を向く。
シンジはアスカの肩をつかむ。
シンジが小刻みに震えているのがわかる。
シンジの顔が近づいて来る。
その時・・・・
「本当にいいの?」
(え? シンジ? ・・・・じゃない。)
「本当にいいの? シンジは今、本当のアスカを見ているんじゃないわよ。」
(そ、そんなことない。シンジはあたしの事をみてくれてる。)
「じゃあ、どうして今になって告白してくるの?」
(それは・・・)
「シンジが今見ているアスカは、本当のアスカじゃない。それでもいいの。」
(・・・・・・・)
アスカはシンジを突き飛ばした。
「ア、アスカ・・・」
「ごめんなさい。」
アスカは口に手をおさえ、目には涙をため、自分の部屋に駆け出した。
「ア、アスカ・・・」
シンジはその場に呆然と立ちつくした。
「どうして? あんなに望んでいたことなのに、どうしてこんなに悲しいの?」
アスカは自分の部屋に戻ると、布団に顔を押しつけ泣いていた。
ドアの方から、シンジの声が聞こえてきた。
「ごめん、アスカ。いきなり、あんなことをして・・・・でも、アスカ、わかってほしい。僕がアスカの事が好きだって言ったのは本当だし、いままでもアスカのことが好きだった。それだけはわかってほしい。」
「ありがとうございます・・・・でも、ごめんなさい。今は一人にして下さい。」
「わかったよ、アスカ。」
シンジは自分の部屋へ行く。
アスカの事を考えながら布団に横になると、急に睡魔が襲ってきて、シンジは眠ってしまった。
「・・・・きなさい。」
「起きなさいよ、バカシンジ。」
アスカの声に目を覚ますシンジ。
「あ、あれ、アスカ?」
「あれ、アスカじゃないわよ。いったい何時まで寝ているつもり?」
「え? 今何時?」
「もう、お昼すぎよ。早く何か作ってよね。あたし、もうお腹ペッコペコなんだから。」
「う、うん。」
(あれは、夢だったのかな?)
シンジはそんなことを考えながら、昼食を作りに行く。
シンジの部屋に残ったアスカは独り言のようにつぶやく。
「今日のことは忘れてあげるわ。シンジが本当の私に向かって、好きだって言ってくれるまで。それが何年先になっても・・・」
Fin
TakoHachi>っと、言うことで、RYOさんの作品だったわけですが、どうだった? みんな、と、
その前に、作者から一言。
RYO >えっ? いきなり?
TakoHachi>もち(^^
RYO >そうですね。じゃあ、初の恋愛小説と言うことで、書かせていただいたのですが、い
かがでしたか?
TakoHachi>うーん、いい感じだった
Izumi >..........いいねぇ.....
Ohtuki >続きが気になりますね(笑) 特にケンスケとの約束・・・・
MASAYA >うん、いい感じ。
RYO >ありがとうございます。
Izumi >絶対破るだろうな、約束>おおつき
TakoHachi>ケンスケの意見を聞き入れてしまうほど、アスカはシンジのことが好きなんですなぁ。
Ohtuki >これ続きの予想ってどうなったの?(^^;
RYO >みなさん、約束は踏みにじると言う意見でしたよ。
Ohtuki >あ、やっぱり(笑)
MASAYA >僕は、後半のアスカの心の動きの猫写がよかったと感じたね。
TakoHachi>うん、なんか気持ちが分かるよねぇ、マサヤさん。
RYO >そうですか? ありがとうございます。女心がうまく、表現できてましたか?
MASAYA >ぼくは、アスカの揺れ動く乙女心を感じました。
TakoHachi>同じく(^^
RYO >よかった。
Ohtuki >・・・・私、心理描写苦手(^^;;
Izumi >上に同じく....
TakoHachi>でも、シンジの気を惹くために演じてたっていう点では、マサヤさんのと同じだった
けど、こっちは純愛風だったね。
MASAYA >ぼくのは、だまし討ち(^^;;
Ohtuki >でも、がらりと雰囲気が違うねぇ(^^)
RYO >そうですね。MASAYAさんのはシンデレラみたいでしたし。
Izumi >12時を過ぎると...
TakoHachi>こういう違いが見たかったのだ、私は(笑)
MASAYA >シンデレラ・・・気づいていただけましたか(;;)感涙。>RYO
TakoHachi>をを!気がつかなかった(^^;
RYO >かわいそう
MASAYA >いいのさ(;;)
TakoHachi>ごめんよ、勢いに押されてそこまで気が回らなかった(;;)
Ohtuki >世の中そんなもんだよ(笑)
TakoHachi>って、マサヤさんのSSのあとがきじゃないぞ!(笑)
MASAYA >そうでした(^^;;
Izumi >あぁあ...やっちゃった。
MASAYA >でも、いいじゃん、対談のあとがきっぽくて(^^)
TakoHachi>まあね(^^
Izumi >そういや、このパターンどっかで無かった?>たこはち
MASAYA >生っぽい。
TakoHachi>泉水くんの時もあったね。
Ohtuki >見えるぞ!! このまま、収拾がつかなくなるいつものパターン(^^;;
MASAYA >ははは(^^;;はぁ・・・。
RYO >ほんとですね。どうしましょう?
TakoHachi>ふふ、じゃあ、私がRYOさんを代理して締めて見せよう。
Ohtuki >さすが年長者!
Izumi >よ、日本一!
TakoHachi>年齢のことは言うなー!!>Ohtuki&泉水
Izumi >言ってないよ.....少なくともおいらは(笑)>たこはち
ワイワイ、ガヤガヤ・・・・
RYO >本気で、収拾がつかなくなってきた。え〜と、この話を読んでくれた皆さん、ありが
とうございます。できたら、一言でいいんで感想をお願いします。あと、ここにいるみなさん、
ほか、ディオネアさんに大家さん。いろいろとありがとうございました。では・・・・
MASAYA >あっ、RYOのやつ、勝手に終わらせやがった。
Izumi >ひでー、おいらたち、こんな扱いかよ。
Ohtuki >なあ、たこはちさん。なんか、締めゼリフは?
TakoHachi>お前らだって、同じぐらいの年だろー!
RYO >みなさん、本当にすいません。
RYOさんのオクトパすトーリー作品『彼女がかわった理由』〜本当のわたし〜、公開です。
そうですよね、
自分と違う自分に告白されても・・・
真実とは受け止めきれないでしょうね。
シンジの気持ちは
「普段からアスカが好き」
初めての告白のきっかけは
「普段と違うアスカ」
本当のアスカに告白できるかな?(^^)
最後に一言。
年齢の話は、すな〜 (;;)
さあ、訪問者の皆さん。
オクトパすトーリー6人目の参加者RYOさんに感想メールを送りましょう!