オクトパすトーリー
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彼女がかわった理由
〜ゲンインハシンジニアリ〜
ちゅん、ちゅん
雀の鳴き声の聞こえる穏やかな朝・・・・・それは、いつもの朝のようでいて、ちっと
もそうではなかった・・・。
シンジがいつものように軽く欠伸をしながらキッチンに向かうと、アスカが彼より早く
そこにたっていたのだ。
「・・・?な、何で・・ア、アスカが?・・」
「あら、シンジ様おはようございます」
「へ?・・・シンジ様って・・・?」
「もうすぐ朝食ができますから、お座りになってお待ちください」
「え?、ううん・・・」
どういうことか戸惑っているシンジをよそに、アスカは手際よく朝食の用意をしている。
…どうやらちゃんとかかっているみたいだ…
シンジは、自分が昨日、アスカにしたことを思い出して笑みを浮かべた。
そう、昨日の夜。丁度午前弐時をまわった頃であろうか、シンジはアスカの部屋にいた。
生唾を音を立てて飲み込むと、シンジは寝ているアスカに顔を近づけて、何かを呟いた。
それは、呪文のようなモノかもしれない。
シンジは、アスカに魔法(?)をかけたのだ。いや、アスカから言わせれば、それは呪
いかもしれない。
「お休み…僕のアスカ……」
そう呟くと、シンジは音を立てずにアスカの部屋から出た。
ほとんど犯罪的行為を犯してしまったシンジの寝顔はやり遂げた充実感でいっぱいだ。
「どうなさったんですか、シンジ様?」
「いや、何でもないよ。アスカ」
少し良心が痛む思いがしたのか、シンジはアスカから目をそらすと、ご飯を口に運ぶ。
「あ、そうそう。アスカ、シンジ様じゃないだろ?」
「え?それじゃ、なんとお呼びすれば?」
「ご…ご…ご主人様だろ?」
シンジは遂に最大の目的をアスカに言った。アスカの口からこの言葉を言わせたかった
のだ。その日は日曜日で、学校もない。再び夜中に解呪をしておけば、誰にもばれること
はないだろう。ミサトもネルフで仕事をしている。チャンスはその日しかなかったのだ。
「そうですね…申し訳ありません、ご主人様……」
慌てて言い直すアスカ。
「いや、いいんだ。アスカがわかってくれれば…それでいいんだ」
優越感に浸りつつ朝食を口に運ぶシンジ。
「あっ…い、いかがでしょうか?ご主人様」
味に自信がなかったのか、アスカは恐る恐るシンジに結果を聞いてみた。
「ん、あぁ…おいしいよ、アスカ」
お世辞抜きで美味しかった。
…こんなに美味しいものを作れるのなら普段からやってくれればいいのに…
シンジは、心の中で悪態をつきながら、アスカが作った味噌汁をすする。
すこし、香ばしい香りが口の中に広がる。
「そうですか?よかった…」
顔をほころばせながら、アスカはシンジを見つめている。
「それはそうとして、アスカ、この味噌汁の出汁はなに?」
ハッキリ言って、この香ばしい味わいがシンジは気になった。
「え、えっと…これは…」
「普通の出汁や味噌を使ってもこんなにならないよね?」
すると、アスカは少し考えて、理由を話した。
「恐らく、鰹出汁だと思います。あんまり煮込まずにお湯に通すだけで十分出汁が出るん
です。煮込むと、生臭くなるだけですから…」
シンジは驚きを隠せなかった。
料理は素人だと思っていたアスカが、プロ並みの事をしゃべっているのだ。この味噌汁
を食べてみればよくわかる。それにこのご飯だって僕のものとは比べものにならないほど
で、正にご飯が輝いている。
マジマジとシンジがご飯を見ている風景を、アスカが不思議そうな眼差しで見つめてい
る。どことなく、甘い空気が流れている。
急に我に返ると、シンジはアスカがまだご飯を食べていないことに気が付いた。
「アスカも座って食べたら?美味しいよ…って、味見してるから美味しいのは知っている
か」
「いいえ、ご主人様となんて…そんな…」
「僕は、アスカと食べたいんだ。駄目かな?」
「駄目だなんてそんな…よろしいのですね?」
アスカは、顔を真っ赤にしながら、自分の分をテーブルに並べた。
よく見ると、シンジのとは少し違うメニューだ。
「ずるいな、アスカ。僕のと違うじゃないか?」
「そ、それは…」
そう言って、シンジは見た目は美味しそうな卵焼きに箸を延ばすとひょいと摘んで自分
の口へと運ぼうとした。
「あ!駄目です。ご主人様!!」
それをさせまいとアスカはシンジの箸を手で押さえた。
あっと思ったのか、シンジは素早く卵焼きだけ手で取ると、口の中へ放り込んだ。
「駄目です!ご主人様。それは…あぁ…」
しかし、時既に遅し、卵焼きはシンジの口の中だ。
モグモグと感触を楽しむかのように口を動かす様子を見て、アスカはがっくりと肩を落
とした。次の瞬間、シンジは目を丸くしてうずくまってしまった。
「どうなさいました?ご主人様。やっぱり、私の卵焼きが…」
「う……う…うまい!!これこそ最高の卵焼きだよ。アスカ…アスカ?」
アスカは目に涙をいっぱいにためてシンジの顔を見つめていた。
…可愛い…
基本的に可愛いアスカに向かってそれはないんじゃないか、と思うが、今までのことを
考えると、それも納得がいく。
シンジは優しくアスカを抱き寄せたかった。ひょっとしたら最後のチャンスかもしれな
い。とも思った。しかし…
「本当においしいよ、アスカ…」
「ご主人様…」
「一緒に食べよう、アスカ」
「はい、わかりました」
「でも、どうしてそんなに食べてほしくなかったの?」
すると、アスカはそれは言わないでくださいという顔をシンジに向けると、
「失敗作なんです、ごめんなさい…ご主人様」
「失敗だなんて、こんなに美味しいのに…」
「いいえ、こんなものは失敗作でして、とてもご主人様が食べるようなものではありませ
ん。だから私が食べようと思っていましたのに…」
「そうだったの、でも美味しいよ。これなら僕が食べたって…」
「駄目です。これだけは、ご主人様でも譲れません…さぁはやく食べてください」
「うん、わかったよ」
まぁ、そこまで言うアスカを説得してまで食べようと思うようなものではなかったし、
ご飯と味噌汁だけでも十分だったので、シンジはそれ以上何も言わなかった。
ただ、アスカの可愛さだけが頭に残っていた。
お昼過ぎ、こんな感じで昼御飯も食べて、シンジはテレビを見ていた。
そこにアスカがお茶を持ってきてちょこんと座る。その様子が何とも健気で可愛くて、
シンジはアスカを見つめてしまった。
「どうなさいました?ご主人様?」
心配そうにシンジを見つめるアスカ。
良心が痛んだ。シンジは、なんと言うことをしたんだろうと後悔したが、同時に征服感
も感じてしまい、戸惑ってしまう。
しかし、後悔なんて言うものは、理性というものも含めて征服感に浸食されてしまう。
「アスカが、アスカがこんなに可愛いから悪いんだ!!」
「な、何をなさるんですか?ご主人様?」
「アスカが悪いんだからな!こんなに可愛いから、アスカ…アスカ…」
シンジは、アスカを押し倒して髪の毛のにおいをかいだ。更に増した興奮度を押さえる
ことは出来なかった。
アスカは、押さえつけられたまま、シンジを見つめていた。
「私が悪いのなら、ご主人様のお好きなようにしてください」
「!!アスカ……それじゃ、目を閉じて…」
「はい…ご主人様」
アスカは震えながら、目を閉じた。
シンジは唾を飲み込んで、少しでも興奮度を下げようと努力を試みては見たが、それは
無駄な行為であった。目の前に自分が好きな人が目を閉じている。少し唇を動かすだけで
キスできる距離に、柔らかそうなアスカの唇がある。
シンジは、荒い息を押さえて、自らの目をつぶり、アスカの唇を犯していこうとする。
高ぶった気持ちは、何もかもを忘れさせ、意識をどんどん後退させていく。
「ふーん、二人っきりだからってシンちゃん。それはいけないわよ」
しかし、ミサトの言葉によってシンジの全てはせき止められた。
「ミサトさん…どうして…今日は仕事だって言ってたのに…」
「シンちゃんが待っていると思って早く帰ってきたのに、こんな事しているんだもの…」
「はぁ…」
シンジの意識は、そこまでしか持たなかった。
最後に見たのは、まだ目をつぶったままのアスカの横顔だった。
「さっさと起きなさい!バカシンジ!!」
「はっ!!」
シンジが目を覚ますと、朝だった。
何事かと辺りを見回すと、アスカが指を突きだして睨んでいる。
「お、おはよう…アスカ…」
「おはようじゃないわよ、はやくご飯作ってよね!遅刻しちゃうじゃないのよ!!」
ぶつぶつ言いながらダイニングへと歩いていくアスカ。
いつもの朝が帰ってきたのだ。
シンジは、欠伸をしながらそう思った。
糸冬
ver.-1.00 1998+01/06公開
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後書き
この作品を書いていて、思ったこと。
このパソコン、よくフリーズするなぁ…(全然関係あらへん!!)
これを書いている途中、3回ほどパソコンが固まりまして…再起動するはめに…(涙)
再起動する度に書いている内容が変わるんです。おかしいな…と思いながら、ようやく
書き終わりまして…どっと疲れています。
今回は、壊れかけた自分がいましたね。はい…
それでは、この辺で…
OHCHANさんのオクトパすトーリー作品『』公開です。
あやしい術をどこで覚えてきたんだ〜ここのシンジは?!
こういう”術”を覚えた思春期の少年は、
やっぱりこういうことをしちゃうのか(^^;
ミサトさんが帰ってきて良かったですよね。
こんなシチュエーションで進んでしまったら、
決定的な亀裂が生まれるでしょうから(^^;;;
さあ、訪問者の皆さん。
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