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ちゅん、ちゅん

 

雀の鳴き声の聞こえる穏やかな朝・・・・・それは、いつもの朝のようでいて、ちっともそうではなかった・・・。

シンジがいつものように軽く欠伸をしながらキッチンに向かうと、アスカが彼より早くそこにたっていたのだ。

「・・・?な、何で・・ア、アスカが?・・」

「あら、シンジ様おはようございます」

「へ?・・・シンジ様って・・・?」

「もうすぐ朝食ができますから、お座りになってお待ちください」

「え?、ううん・・・」

どういうことか戸惑っているシンジをよそに、アスカは手際よく朝食の用意をしている。

その光景の中、シンジの表情は、戸惑いから確信へと変わっていく。

「………そうか……今日は、明日香か……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が変わった理由

幻影と真実の中で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンジ様、朝食の用意が整いましたよ。さあ、めしあがれ。」

「ありがとう、明日香。」

 

「「いただきます。」」

 

「あの……シンジ様……お味の方は、どうでしょうか?」

「おいしいよ、明日香の作る料理は、何でも最高だよ。」

「ありがとうございます。明日香は、シンジ様にそう言ってもらえるのが、何よりの褒美なんです。」

明日香は嬉しそうに笑っている。

彼女は、心の底から幸せを感じているだろう。

僕もその笑みに答えるために、笑う。

偽りの微笑み。

僕は、最近自分の感情を作ることが出来るようになった。

偽りの感情を………

なぜ、こんな事になってしまったんだろう………

アスカ………

 

 

「シンジ様、シンジ様。」

「あっ…なんだい?明日香。」

少し、考え込んでいたようだ。

「シンジ様、先程からお箸がすすんでないんですが、何か心配事でもあるんですか?」

「別に何もないよ。僕は、明日香がいてくれたら、それで幸せなんだ。」

そう、アスカがいてくれたら……

「もう、シンジ様ったら…………明日香もシンジ様が、いてくれれば幸せです……」

恥じらう明日香、僕を愛してくれる明日香。

だけど君は、アスカじゃないんだ……

「さあ、食べてしまおう。」

「はい。」

僕は、朝食を片付ける事に専念した。

明日香は、そんな僕をチラチラと見て、幸せそうな笑みを浮かべている。

僕達は何処へ行けばいいのだろう……

「ごちそうさま。おいしかったよ、明日香。」

「どういたしまして。シンジ様は、しばらくくつろいでいてくださいね。」

そう言って、明日香は後片づけを始めた。

僕は、リビングのソファーの上で、いつものように過去を振り返る。

あれから何年が過ぎただろう。

原色で彩られていた過去が懐かしく思える。

辛いはずの過去が…………

 

 

 

 

 

僕は、何もできなかった。

弱かった。

最低の人間だった。

その時、僕が見た物は、白いエヴァに蹂躙されていたアスカだった。

それは、肉片と化していた。

その姿が、アスカの姿と重なる。

悔しかった、何もできなかった自分が悔しかった。

絶望と狂気が僕を包んでいった。

そして、僕の中で何かが目覚めた。

僕は、咆吼を上げ、全てを破壊し尽くした。

そんな中、綾波が、カヲル君が僕を包み、全てが光の中へと消えた。

光の中、僕はアスカを望んだ。

全ての人に別れを告げ、アスカの元へと帰っていった。

そして、みんな死んでしまった。

綾波も

ミサトさんも

加持さんも

リツコさんも

マヤさんも

青葉さんも

日向さんも

冬月さんも

トウジも

ケンスケも

洞木さんも

父さんも

みんな死んだ。

その地獄の中、生き残っていたのは、僕とアスカだけ。

二人だけの世界の中、アスカは僕を拒絶した。当然だろう、僕はアスカを殺そうとしたのだから。僕には、結局他人を受け入れることが出来なかったんだ。他人を望みながら、いざとなれば自分が傷つくのが怖かった。

永遠に続くと思われた二人だけの沈黙の中、国連軍の調査隊が僕達の元へやってきた。

彼らは、この地獄のような世界で、人が生きていたことに驚いていた。

僕達がエヴァのパイロットだと分かると、彼らは僕達を国連の施設へと運んだ。

僕達は、国連の病院へと運ばれた。

そこで尋問を受けた。

アスカは、話せるような状態ではなかったので、幸い尋問は僕だけだった。

僕は、自分が知りうる真実を語った。

全てのことを語り終えると僕達は、その病院の中に閉じこめられた。

外界との接触が一切断たれた中、アスカの不安定な精神は、殻に閉じこもってしまう。病院の医者達は、何とかしようとしていたが、全てが無駄に終わった。

僕がアスカに面会が許されたのは、一月ぐらいが過ぎ去った後。僕は、アスカに会う前に、彼女の担当医から、アスカの状態について説明を受けた。

多重人格症。

それがアスカの病名だった。

 

 

僕が最初に会ったのは、惣流明日香だった。

優しく、お淑やかで、僕の許嫁だった。

最近、結婚式について、僕に相談してくる。

家庭的な女性。

僕を愛してくれた。

 

 

次に会ったのは、惣流あすか。

5才ぐらいのかわいい女の子で、僕のことを、お兄ちゃんと呼んでいる。

いたずら好きで、僕を困らすことを楽しんでいる。

でも、僕が怒ると泣き出して、嫌いになっちゃいやと、僕に抱きついてくる。

僕のお嫁さんになるって、いつも言っている。

 

 

最後は、アスカ・ラングレー。

彼女が一番元のアスカに近いのかもしれない。

彼女は元気だ。

幼なじみの僕にいつも文句を言っている。

彼女といると、昔のアスカと重なることが多く、辛くなる。

でも、彼女は僕の心をいやしてくれる。

この前、彼女は照れながら、僕のことを好きだと言ってくれた。

 

 

彼女たちは、いろいろな形で僕を好きでいてくれる。

愛してくれている。

でも、僕が好きだったアスカは、惣流・アスカ・ラングレーは、何処にもいない。

何年も治療したが、アスカは良くならなかった。

むしろ、人格の分裂は、強固な物へと変わっていった。

医者の話では、本来のアスカは、心の中で眠り続けていると言う事だった。

幸せな夢を見ているのだろうか?

アスカは幸せなんだろうか?

永遠に眠る、眠り姫。

今、僕達はアメリカの国連施設内に建てられた、僕達の家に住んでいる。

僕は、今の状況を少しずつ教えられた。

世界は、混乱に満ちている。

日本と呼べる場所は、存在していない。

まともに機能している国はなく、今はゼーレと呼ばれた組織の息のかかっていなかった国連の一部が、世界をまとめているそうだ。

外の世界に僕達は、出ることはない

僕達は、保護の名の元、此処に死ぬまで居ることになるだろう。担当官の口振りから伺いしれる。

永遠に飛べない鳥。

僕のしたことを考えれば、幸せなことだと僕は思う。

僕とアスカは、大人と呼べる年齢にさしかかっている。

僕は嘘をつくことを覚えた。

自分の感情を作ることも覚えた。

全て、アスカのために………

最近、時々考えることがある。

もしかして、今のアスカを作ったのは、僕自身じゃないだろうか?

僕は、アスカを望んだ。

しかし、アスカは僕を拒絶していた。

アスカに愛されたい。

アスカと一緒にいたい。

僕のその欲望が、今のアスカを作り出したとしたら………

 

 

 

 

 

「シンジ様、シンジ様ったらまた何か考え込んでいらっしゃるのね。

 ……………………………えい。」

僕は、突然の明日香のキスに現実へと引き戻された。

「もう…シンジ様ったら、また何か考え込んでいましたわね。

 誰か他の女の事ですか………」

明日香の瞳に涙がたまる。

僕は、その涙に少しうろたえた。

明日香は僕の前で泣くことはほとんどない。

そんな彼女を泣かしてしまったことが、僕からいつもの冷静さを奪った。

「ち、ち、違うよ!!僕の好きな人は、ア、アスカだけだよ。ずっと、ずっとアスカを愛しているんだから………」

「…………よかった……明日香は、シンジ様に捨てられたら生きていけないんですもの。」

「ずっと、君の側にいるよ………」

「…………シンジ様……」

明日香の瞳が潤んでいる。

本当のことであって、嘘でもあること。

僕は、アスカを愛している。

君たちの中に眠る、永遠の彼女を愛している。

「ねえ、シンジ様。結婚式、早く挙げたいですね。」

「そうだね。僕達は夫婦になるんだ。」

「そうですね。ずっと一緒にいましょうね。」

「もちろんだよ。」

「嬉しい。」

「僕は、君だけを見ているよ。」

「明日香も、シンジ様だけを見ています。」

「アスカ、ずっと僕の側にいてくれる?」

「もちろんです。絶対にシンジ様を離したりしませんからね。」

 

「アスカ……愛してるよ………」

 

「シンジ様……愛しています………」

 

僕達は、長く深いキスをする。

そう、僕が愛しているのはアスカ、君だけだよ。

君だけを愛してる。

永遠に………

 

 

 

 

 

 

 

 


ver.-1.00 1997-11/22 公開
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 幸せについて語りあった、ややまじめな後書き対談

 

佐門    :やっとこさ、リハビリにこぎつけた佐門です(^^)

たこはち  :お帰りなさい、佐門さん(^^

Ohtuki:(^^)

RYO   :おめでとう(^^)

泉水    :(^^)

佐門    :うう・・ありがとう・・・

たこはち  :それにしても、EOEからもってきますかぁ・・・・

泉水    :ふむ.....

Ohtuki:珍しいですね

RYO   :佐門さんっぽいかも

佐門    :俺の中で、EOEは終わってないですから・・・終焉の連載が終わるまではね

たこはち  :ほう、私は自分のSSでケリを付けましたからね〜、EOEは

佐門    :実は、終焉の別バージョンなんですよこれ

たこはち  :なるほど〜

佐門    :やっぱ、暗いですけどね(^^;;

Ohtuki:・・・・ちょっとね・・・(^^;;;

       でも、ホントにみなさんよく考えつきますよね(^^;;

RYO   :暗いけど綺麗だと思うな

佐門    :これ、綺麗か?

たこはち  :綺麗なんだが・・・アスカちゃんが、シンジ君が(;;)

RYO   :シンジの想いが、すごく綺麗で良かったよ

泉水    :暗め、だけどまぁ・・・それなりには幸せなのかもしれないですね・・・

たこはち  :幸せか、そうなのかなぁ〜

泉水    :アスカの表面上としては、だけどね

Ohtuki:そう思ってれば、幸せなんですよ・・・きっと・・

佐門    :偽りの幸せですけどね・・・

たこはち  :うん、偽り、そこが辛いんですよね〜、私には(^^;

RYO   :幸せなんじゃないですか?偽りでも、シンジがアスカのことを好きだって言ってるんですし

たこはち  :それって、虚しくない?

泉水    :空虚な愛か....

佐門    :独りよがりの愛だね・・・

Ohtuki:ありますよね・・・佐門さん・・・

佐門    :うん、悲しいけどね、多いと思うよ、こういう愛の形は

泉水    :まぁ、これも愛の形の一つに過ぎないわけですし・・・

佐門    :これはこれで美しい愛の形かなとは、思うんですけどね

       俺は、どんなに歪んだ愛でもそれぞれの美しさがあると思うし

       狂気もまた、美しい思うんですけど

RYO   :なんだか危ないですね(^^;;

Ohtuki:でもまあ、死ななかっただけでも・・・・と言うことで(^^)やっぱり生きてればいつか良いこともあるし!!

たこはち  :そりゃまあそうだけどね

RYO   :そのおかげで、シンジは素直になったんだし・・・・

たこはち  :素直・・・?

RYO   :だって、シンジは自分の気持ちに気がついたんでしょ

たこはち  :うーん、まあ、そうかも知れないが

佐門    :素直って言うより、逃げと考えた方がいいかもしれない・・・

RYO   :逃げですか・・・・(^^;;

Ohtuki:本音を言うと、この書き出しでここまでシリアスになるとは・・・(^^;;

泉水    :やられたね

       こう来るとは、思ってもみなかったよ

佐門    :だって、俺シリアスの方が得意だもん(笑)

       シリアスっていうより、暗いんだけどね

       それより、たこはちさんは、精神汚染が酷そうだね

たこはち  :だって、アスカちゃんがーーシンジ君がーー(;;)

佐門    :一応、LASのつもりなんだけど・・・歪んでるけど・・・・

たこはち  :でも、一番私がドキッとしたのは、この副題。私の副題とそっくり(^^;;

Ohtuki:確かに(^^)

佐門    :あれ?そうだった?

たこはち  :うん、私は「幻と真実の間で」だから

泉水    :おおっ、さういや似てるかも(^^)

たこはち  :たんなるLASなんだけどね、私のは

Ohtuki:でも内容が(^^)

たこはち  :そうなの(;;)それでショックを受けてるのが半分あるの

       残りの半分は・・・・(;;)

Ohtuki:(^^;;よしよし・・

たこはち  :俺のが単なる軽薄モノに見えちゃって見えちゃって(;;)

Ohtuki:まあ、この企画自体、人それぞれってのが目的だし(^^)

たこはち  :だ、だって、だって〜(泣)

佐門    :人それぞれに得意分野があるから

       俺、普通のLASも書くけど、あんまり得意じゃないし・・・

Ohtuki:泣くんじゃない!おっとこのこでしょう(笑)

たこはち  :泣くよ〜

Ohtuki:そんなこと言ってると私だって・・・・(泣)

       しくしく・・・・(;;)

佐門    :しかし、書いた本人が悲しくなるようなLASになってしまった・・・

RYO   :ちょっと、アスカがかわいそうだよね

佐門    :シンジが、もっとかわいそうかも

泉水    :うむ

たこはち  :両方かわいそうだよ〜(;;)

       つらいのはイヤだ〜〜〜(爆)

RYO   :つらいのは、シンジだろうね

泉水    :アスカは自分が多重人格だと言うことに気が付いていないだけ・・・

佐門    :気が付いたら、どうなるんだろう?

泉水    :たぶん、精神崩壊化なんか起こすと思う・・・

RYO   :やっぱり、シンジと一緒になるんじゃないですか?

佐門    :ああ、なんか書いてみたくなってきた

       ものすげーダークな奴(笑)

Ohtuki:ま、アスカもシンジもいつかホントに幸せな日が来ると良いですね(^^)

泉水    :全くです(^^)

RYO   :幸せになって行くんじゃないですか(^^)

たこはち  :そいう締めって、嫌い(笑)

佐門    :知っ〇るつもりみたいな締めは嫌い(笑)

       この話の中では、幸せな日々は永遠に来ないんだーー

RYO   :さ、佐門さん・・・・(汗汗)

Ohtuki:・・・せっかくまじめに締めようとしたのに(^^;;;

佐門    :フッ・・・まじめに締めるなんて、無駄な努力だね(笑)

たこはち  :いいんですよ、カットアウトで(笑)

 

           終

 

 

 

みなさんこんにちは、佐門です。

この度、何とか1本SSが書けました(^^)

まだまだ、リハビリ段階で、以前のような嵐の執筆意欲は帰ってきていませんが、ゆっくりと復帰していきたいと思っています。

私自身、こんなにも早く書けるとは思ってもいなかったです。

少なくとも4、5ヶ月は無理だろうと思っていました。

これも、こんな私に応援メールや応援書き込みをしてくださった65名の方々。

IRCで色々元気づけてくれためぞんの住人の方々。

そして、暖かい励ましをくださった大家さん。

みなさんのおかげです。

私自身、みなさんから少しずつ元気を分けてもらって、なんとか復活への一歩を踏み出すことが出来ました。

本当にありがとうございました。

しばらくは、ゆっくりと書いていくつもりですが、どうかこれからもよろしくお願いします。

それでは、みなさんが良い夢を見れますように。

感謝を込めて。

 

 佐門

 

P.S. メールや書き込みをいただいた方々には、せめてもの感謝の気持ち込めて、返信させてもらいましたが、メールデコードで送ってくださった一人の方のメールアドレスが違うようです。もしよろしければ、連絡をいただきたいです。

 


 1ヶ月ぶりのオクトパすトーリー新作。
 そして、
 佐門さん復活への第1歩(^^)/

 

 

 『彼女がかわった理由』−幻影と真実の中で−、公開です。

 

 多重人格のアスカ。

 アスカのその、それぞれの人格を愛するシンジ・・。
 あっと、
 中に眠る本当のアスカへの代替えなのか・・。
 

 上手いいっすね、へビーですね。

 

 

 自分に向けられる愛で、
 アスカは・・・直ら・・・ないか・・

 自分に向いている視線が、
 自分を越えた先に行っていることをアスカが知ったら。

 やっぱり辛いぞ〜

 

 幸せになって欲しいですね。    (^^;

 

 

 さあ、訪問者の皆さん。
 立ち上がる佐門さんに感想メールを送りましょう!


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