〜Drug〜
ちゅん、ちゅん
雀の鳴き声の聞こえる穏やかな朝・・・・・それは、いつもの朝のようでいて、ちっともそうではなかった・・・いつものように軽く欠伸をしながらキッチンに向かうと、アスカがシンジより早くそこにたっていたのだ。
「...?な、何で..ア、アスカが?..」
「あら、シンジ様おはようございます」
「へ?・・・シンジ様って・・・?」
「もうすぐ朝食ができますから、お座りになってお待ちください」
「え、う、うん」
どういうことかと惑っているシンジをよそに、アスカは手際よく朝食の用意をしている。
『あ、アスカいったいどうしちゃったんだろう?・・・何か変なものでも食べたのかな・・・でも、こういうのもたまには良いかな・・・』
いつの間にかテーブルに肘を附き、その上を向いた手のひらに顎を乗せてぼーっとアスカの背中を眺めていた。と、そこへ・・・・・・
「ふぁ〜ぁ・・・・・おはよシンちゃん・・・」
「あ、ミサトさんおはようございます!」
「あっらぁ?どうしちゃったの食い入るようにアスカの背中見つめちゃって・・・もしかしてお邪魔だったかしらん?」
後ろからかかった声に慌てて振り返り、挨拶を返す。そんなシンジをまるでおもちゃでも見つけたように嬉々としてからかう。
「そ、そんな、ち、違いますよミサトさん!!」
「ま、シンちゃんてば、照れちゃってかっわいいんだっから〜!!」
もはや朝の恒例となっている缶ビールを取り出しながら心底嬉しそうにシンジをからかうミサト
「プシュッ・・・ングング・・・・プッハ〜・・・やっぱ朝はこれよね〜〜・・・・・そっれにしても、あのアスカがね〜いったいどういう風の吹き回しかしら?」
「あら、起きてらしたんですか、おはようございますミサトさん」
「ミサト・さ・ん〜・・・・だ、大丈夫アスカ!?」
「あら?私何か変なこと言いましたか?」
「えっ!・・・・あ、い、いや別に・・・」
いつもとはまるで違うアスカの様子に戸惑うがそこは大人と言うことで何とか理性を保つ。
『な、何?いったいどうしちゃったのアスカ・・・・そう言えば昨日・・・・リツコのやつ・・・』
「ごめん!!アスカ、シンちゃんあたし朝御飯いいわ!ちょっちこれから本部に行って来るから!!」
そういって自分の部屋に戻り制服に着替えると爆音を轟かせながら道の向こうに消えていった。
「・・・せっかく造りましたのに・・・まあ良いですわ・・・ではシンジ様食べましょうか、それに急ぎませんと時間に遅れてしまいますわ」
「そ、そうだね・・・いただきます」
そう言うとシンジはおそるおそる目の前の料理を口にした。アスカは、その様子を傍らで見つめている。
「・・・おいしい・・・おいしいよアスカ!」
「本当ですか!!喜んでいただけで嬉しいです!」
その後二人は、穏やかな朝食をとると着替えのためおのおのの部屋に戻っていた。
「アスカって料理うまかったんだな・・・毎日こうだったらいいのに・・・っと早く着替えなくっちゃ遅刻しちゃう」
そんなことを呟きながら、制服に着替えたシンジは、机の上の鞄をとろうとして小さな小瓶があることに気づく。
「あ、そう言えばこれ・・・・・
回想・・・・昨日テスト終了後リツコの部屋
「なによ、リツコ!用があるんなら早く言ってよね!!」
「アスカってば・・・・ごめんなさいリツコさん・・・で、話って何ですか?」
「ええ、実は二人にこれを飲んでほしいのよ」
と机の上にあった小瓶を二人の前に差し出す。それをみてあからさまに怪訝な顔をする二人を見て苦笑すると、いつものように冷静に言葉を続ける。
「単なるシンクロテストを効率よくするための薬だから、そんなに怪しまないで良いわよ・・・・」
「そ、そんな怪しいだなんて思ってないですよ・・」
「・・・・ほんとでしょうね・・・ま、いいわ!」
そう言うとアスカはひったくるように小瓶を奪った。そしてシンジも小瓶を受け取ると、リツコが穏やかな笑顔で話を続ける。
「これは、今日寝る前に飲んでね、じゃ、今日はもう帰って良いわよ・・・お疲れさま」
そう言うと、回転式の椅子を回して二人に背を向けるリツコ、それをみて二人は簡単な挨拶をすると帰路についた。
・・・・忘れてたな・・・どうしよう・・・」
そう言って小瓶を朝日に翳した時、玄関の方から声が聞こえてくる。
「「いっかりく〜ん」」
「あ、今いくよ〜」
その声を聞くと持っていた小瓶を元の場所に置き、玄関に向かった。
「おはよう!トウジ、ケンスケそれに委員長」
「おはよう碇君」
「おはようシンジ!」
「おはようさんセンセ・・・・何や惣流のやつはまだなんか」
そこに準備の終わったアスカがでてくる。
「あ、おはようアスカ!」
「お待たせいたしました、おはようございますヒカリさん、それと鈴原さんに相田さん」
「「「さ、さん〜!?」」」
「?・・・さ、いきましょうシンジ様!」
とシンジの腕をとって歩き出す。
「ちょ、ちょっとアスカ・・」
「どうなってるんだ・・・」
「わいら夢でも見とるんやろか・・・・」
「ほんとに・・・」
二人を呆然と見送っていた三人は、はっと我に返ると慌てて追いかけていくのであった。
同時刻 ネルフ本部
葛城ミサトは急いでいた。その先は、ネルフ内の諸悪の権化、悪魔の住処、ウケケの館等、様々な愛称(?)で親しまれている(^^;;リツコの研究室である。そしてそのドアの前に立つと、迷わず自分のIDカードをスロットに滑らせる。
ピッ・・・プシュー
小気味よい音を立ててドアが開く、その中には暗い世界が広がっており中央に光るノートパソコンの前に一人の金髪の女性が座っていた。そう彼女こそ稀代のマッドエンジニア、東洋の魔女、天災科学者、ウケケ、等々様々の称号(?)をほしいままにする赤城リツコその人である。彼女は振り返るでもなく自分の親友でもあり同僚の入室を確認すると液晶ディスプレイを見つめせわしなくキーボードを打ちながら声をかける。
「何の用?ミサト」
「何の用じゃないわよ!リツコ!あんたアスカに何したのよ!!」
リツコは、ああ、その事かというように顔を上げると椅子を回転させてミサトと向き合った。
「別に、大した事じゃないわ、ただちょっとテストの効率化を計ろうと思っての事よ」
「だ・か・ら何のテストなのよ!!それに私への事前報告が全然なかったじゃない!!」
「その必要性がなかったからよ・・・・あら・・・これは!?」
「?・・・・どうしたのリツコ・・」
視界の縁に映ったモニターの変化に、体を机に向けキーボードを操作する。その行動を不審に思いながら問いかける。
「・・・・ミサト、ちょっとこれを見て・・・」
「・・だから何なのよ!・・・・これは!?・・・・・ちょっち面白いことになりそうね・・・(にやり)」
「・・・・興味深いデータが取れそうね・・(にやり)ふふふ」
「ふふふ・・・」
「「ふっふふふふぁはっはっはっははははははははは」」
同じようにモニターを覗き込んだミサトは急に顔をほころばせると言葉を返した。そして二人はお互いの顔を見合わせると、含み笑いを始めた。やがて研究所全体に、その笑い声が高らかに響きわたったが、所員たちは「いつものこと」と取り立てて騒ぐものはいなかった。そして、その二人の前にあった液晶ディスプレイには、「第三新東京市内に私の見れない所はない」と豪語するリツコ特製隠しカメラによる映像で、まるで抱きつくように腕を絡ませ、頭をシンジの肩にのせ幸せそうに歩くアスカの姿が映っていた。
『・・・・どうしッちゃったんだろう・・・アスカ・・・・』
シンジは戸惑っていた。それは、家を出てからずっと横に寄り添っている同居人でもあり、人造人間エヴァンゲリオン弐号機専属パイロット、そして今自分が一番気になる女の子でもある惣流・アスカ・ラングレーについてである。家を出てから少しの間は、恥ずかしさの為に何度か離れるように頼んだのだが、そのたびに瞳を潤ませて「私がお嫌いですか?」と聞いてくる、そんな彼女に慌てて否定することしかできなかった。
『・・・でもほんとに、こうしてると可愛いんだよな・・・・でも・・・・』
「どうしたんですか、シンジ様?」
「・・・!?えっ!・・・い、いやなんでもないよ」
考えている内にいつの間にか彼女の顔を見つめていたシンジは、その視線に気づき覗き込むようにして問いかけてくるアスカに一瞬にして現実に引き戻されると、しどろもどろになりながら答えた。その様子を見て、すぐに俯くと組んでいた腕を放した。
「・・・・・やっぱり迷惑なんですか・・?・・・シンジ様が迷惑だとおっしゃるんなら私・・・・」
「!?そ、そんなことは絶対にないよ!!」
俯いたまま両手で顔を覆うと絞り出すようにして問いかける彼女に、咄嗟に大きな声を出すとその両肩を掴み引き寄せた。お互いの距離が急に縮まり、アスカがその潤んだ瞳で目の前の顔を見つめる。
『アスカ・・・』
「僕は・・・僕は絶対に迷惑だなんて思わないよ・・・・だって僕は・・・あ、アスカのことが」
「・・・・シンジ様・・・」
「・・・・・あ、あのー盛り上がってるとこで悪いんだけど・・・・その、遅刻しちゃうわよ・・二人とも・・・・」
そう、ここは天下の往来、そして今は朝、当然のごく会社に向かう人々や同じ中学に通う学生もいる。そんな中歩道の真ん中でいきなりあまい世界を作り出した二人に注目が集まるのは想像に容易いことであろう。彼等の周りには固唾を飲んで見守るものや、冷やかす者、陰口をたたく者など、結構な人数の人々が集まっていた。そんな中ヒカリは、事態の収拾と自分に架せられた責任を全うするために、おずおずと二人に近づき声をかけた。二人は、周りの視線を一身に集めたことに気づき、ボッと言う擬音が似合う勢いで顔を赤く染めるとお互いに俯き沈黙してしまった・・・・その後ヒカリやトウジたちが固まったままの二人を学校まで引きずっていき、奇跡的にも遅刻と言う事態は回避された。
「全く惣流の奴はどないなっとんのや・・・」
「・・・俺たちは夢でも見てるのかもな・・・」
「でも、アスカ幸せそう・・・・私も・・・」
帰り道、三人は、今日一日のアスカの行動を信じられないと言う思いで見ていた。彼女は、朝の騒動に始まり、いつも踏みつけているラブレター一枚一枚に断りの返事を書き、そしてその変わり様を見て声をかけてくる輩を丁寧かつ大胆に断った。その上、事ある度にシンジに寄り添い、多数の女子による羨望のまなざしと、男子からの彼に対する嫉妬の視線を欲しいままにしていた。
「ねぇ、シンジ様・・テストも無くなったことですし、ちょっと寄り道していきませんか?」
「え、う、うんそうだね何処か寄っていこうか・・」
不安げに上目遣いで見上げ訊ねてくるアスカに、微笑みながら言葉を返した。
「ありがとうございますシンジ様!」
最上の笑顔と共に回していた腕を抱き寄せ彼の肩に頭を預けた。それを見ていた一人のコメント・・・・
「・・・もう、勝手にせいや・・・」
一方、時は遡り昼ネルフ本部リツコのお部屋・・・
カタカタカタタタタ・・・
「・・・出来たわミサト・・・完璧なシナリオよ!」
「・・ほんほ!?・・・ゴックン・・・どれどれ・・」
あの後、パソコンを睨み、キーを叩き続けていたリツコがその脇でモニターに向かい、その指示で二人にテストの中止を連絡した後、ソファーに寝そべりながら、その中に映るアスカとシンジのやり取りをつまみにしてエビチュを飲んでいたミサトに声をかけた。・・・・・ってあんた勤務中じゃ無いんかい!(ーー;;・・・あ、もちろんこの画像はマギにより高画質、高音質で保存されていたのは言うまでもない。
「・・ふん、ふん・・・でも大丈夫なのシンちゃん?・・このシナリオで・・」
「フッ、それは保証するわ、何しろあの薬を飲んだんですから・・・」
「ちょっと待って!薬ってシンジ君にも飲ませたの!?」
「あら、言ってなかったかしら・・」
「・・・・聞いてないわよ・・」
しれっと答える友人に、呆れるような表情で聞き返すと、その当人はその効果のほどを1時間27分に渡り説明した。その内容は、シンクロテストの効率化を言い訳・・・もとい、目標にして、その為にまずアスカの無謀なまでに勝ち気な性格とシンジの異常なまでに内罰的な性格を改善すると言うもので、彼女には、薬を飲むことにより心の奥にある素直な部分を、彼には、それと共に心の中の強い部分を強調するために調合したとの事であった・・一部、いやかなりの部分に自分の趣味が入っていたらしいが・・・・
「・・・・と言う事よ」
「・・・ん!?なんか言った?」
「ミサ〜ト〜あんたって人は!!」
「ごめん!・・だってあの二人面白いんだもん!」
「・・・ふー・・・もう良いわ・・とにかく後はよろしくね・・」
「いってらっさい〜」
プッシュー・・・・ガーガッシャン
リツコが演説を終え振り返ると、そこには先程と同じ姿勢でモニターを眺めているミサトの姿があった。片手を目の前にして拝む様に謝る友人に、人差し指でこめかみを押さえながら後を頼むと準備の為に部屋を後にした。
「・・・でもシンジ君普段と変わりないわよね・・・」
自分の他誰もいなくなった部屋の中でミサトは一人呟いた。
愛用のMTBで本部内を疾走するリツコ、これは、自身が何処からか見つけてきた20年以上前のMTBで、当時、競技の一つであったダウンヒル世界戦で優勝したのと同じものであり、それに手を加え悪魔の技術の粋を極めた代物である。そしてその奇怪なMTBが停まった先にあるドアを開け中に入っていく、そこのプレートには諜報部顧問と記載されていた。
「やあ、りっちゃんデートの誘いかい?」
椅子に座ったまま後ろを向いた長髪で無精ひげを生やした男は人なつっこい笑顔でリツコに声をかけた。
「こんにちは加持君・・・・ミサトに言いつけるわよ・・」
「ははっ、それは恐いな、で何の用かな?」
笑顔を崩さないままに訊ねる。
「実は、・・・・ということで、諜報部から2〜3人貸してもらいたいのよ」
「い、いくらりっちゃんの頼みでも・・そりゃ、ちょっと・・・」
「そう・・・・ゴソゴソ」
内容を聞いて、穏やかに断ろうとする加持、まあ誰だって彼女を敵に回すのは得策でないことぐらい分かるであろう。しかし、その言葉を聞いたリツコは、白衣の懐を探ると小型のビデオディスクを取り出し、部屋にあるデッキに滑り込ませた。”悪行PART35”とラベルに書かれたディスクの中身は、ネルフ内の某所で彼が女子職員に迫っているシーンが映し出されていた。
「!?こ、これは・・・だがしかし・・・・」
「あ、そうそうミサトが今度手作りのカレー食べに来いって言ってたわ」
「!!貸す!、貸させてくれ、りっちゃん!!」
「そう!ありがとう」
ディスクのシーンを見てもまだ渋る彼に、奥の手を決行する。すると、口の端をひきつらせ一瞬顔を青くさせると、コクコクと頷きながら即座に答える。その様子を見て彼女は極上の笑みを浮かべ礼を言った。・・・・人はそれを悪魔の微笑みという・・・
結局あれから二人は街に繰り出しデパートに来ていた。いつもならシンジを荷物持ちとしてこき使い、我が儘を言い彼を困らせるのだが、今日はここに来ても彼のそばを離れることなく、端から見れば実に羨ましい雰囲気を醸し出していた。実際、多数の男性がこちらを振り返りシンジに対して嫉妬の視線を浴びせ、中にはカップルの男性までがこちらに眼を奪われその隣にいる彼女に思いっきり足を踏まれている光景もあった。
「アスカ、これなんかどう?・・・・それともこっちの方が良いかな?」
「シンジ様の選んで下さったものなら・・・・どれでも嬉しいです!」
「ありがとう」
・・・・・どうやらシンジもこの状況を楽しんでいるようだ・・もはや彼等二人には周りのことなど気にならないのであろう、それほどまでに・・・・・ってやってらんない(−−#・・・まあそう言うことである。
「・・・気が進まないな・・・水野・・・」
「・・・まあ、これも任務の内さ・・・なぁ、泉水」
「うみゅ・・・・」
三人は先程加持顧問より呼び出され、有無を言わさずこの任務に就かされたのである。所詮どんな嫌な仕事でも上司に逆らえないのが下の者の宿命、たとえそれがどんなに理不尽な要求であったにしても・・・・・
「お呼びですか顧問」
「・・・君たちを呼んだのは他でもない・・・ある重要な任務をやってもらいたい・・」
「・・・重要ですか・・」
いつも、にやけている加持顧問が、真剣な顔をして話しかけてくる。八谷は、なぜか嫌な予感がしてならなかった。
「そうだ・・・実は・・・・」
「「「実は・・」」」
あまりにも真剣な上司に固唾を飲んで見守る三人・・・
「サードチルドレンに絡んでほしい!」
「は?」
「え?」
「へ?」
「・・・・もう一度だけ言おう・・・サードチルドレン、碇シンジ君に絡む・・・これが任務だ・・・・尚、一切の質問は、受け付けない・・・・」
「「「・・・・・・・」」」
言ったあと振り向き天井を見上げている顧問に三人は、ただ黙るしかなかった・・・・そして、八谷の頭の中では”やっぱり”の文字が反芻していた・・・・
「ふぅ・・・」
「何ため息ついてんにゃ?」
「お、出てきた・・・行くぞ!」
「あの”期間限定特大ストロベリーヨーグルトパフェ”美味しかったですわね、シンジ様」
「うん、美味しかった・・・それにアスカが食べさせてくれたから・・・・」
「・・・・もう、シンジ様ったら・・・・恥ずかしい・・・」
「「・・・ぷっ・・・あはははははははは」」
店から出てきた二人は、先程食べたパフェの話題でじゃれあっていた。ちなみにこのパフェは、まるでどんぶりのような硝子容器に、まずヨーグルトアイスクリーム、次に苺の輪切りが乗り、さらにヨーグルトアイス、その上に生クリームのデコレーションがたっぷりと、ストロベリーシロップがかかりウエハウスやポッキー、苺などで飾ってあるという、とてもじゃないが一人では食べきれない物である。それもそのはず、これは一つ頼むとスプーンが二つついてくるので・・・普通の人は一人では頼まないであろう・・・・まあ、つまりそう言うことである。
「・・・何かこの仕事やる気出てきたわ・・・」
「うみゅ・・・おいらも・・・」
「・・・だな・・・・」
物陰から目標を監視する三人、その姿はいつもの黒服ではなく、誰の趣味なのか派手なアロハシャツに白いスラックス、金縁のサングラスを掛けている・・・嫌々来た任務とは言え、仕事中の彼等の前で無邪気にじゃれつく二人・・・・まあ分かる気もするが(^^;・・・そして、任務は遂行される・・・
ドンッ
「あ、すみません」
「いっっっってぇ〜〜〜〜」
「大丈夫か、水野・・・」
「おぃぃ!何すんだこのガキャァ!!」
軽く肩が触れただけなのにも関わらず、大げさに痛がる水野その演技は実にわざとらしいものではあるが・・・そしてシンジの胸ぐらを三人の中で一番若いであろう泉水が掴み大声でまくし立てた。
「そ、そんな、ちょっと触れただけじゃないですか!!」
「そうですわ、シンジ様を離しさて下さい!!!」
「ん!?、あんたかわいいにゃ・・・ちょっと、おいらとつきあいなよ」
「やめろ!!アスカに手を出すな!!」
ガスッ
「・・・・うるさい」
「キャァー!シン・・・」
腕を掴んでいるアスカ、それに気づいた泉水は胸ぐらを離すとアスカの腕と顎を掴む、束縛から解放されたシンジが後ろからその肩に手を掛けようとした瞬間、横にいた八谷が彼の頬を殴りつけた。それを見て血相を変え大声で叫ぼうとするが途中で口を塞がれてしまう・・・
「八谷、泉水ここでは目立つそこの公園に・・・・(ニヤリ)」
ドカッ・・・バキッ・・・・ドスッ・・・
ここは、路地を入った裏手にあるビルに囲まれた公園・・・二人に掛かりで殴られている少年、そのそばには後ろから羽交い締めにされ、口を塞がれている少女、その蒼い瞳には大量の涙で覆われている。
「おら、おら、治療費だせや!(何か話と違う気がするのは気のせいかな・・・)」
「・・・・・・・・(確かに何か違うな・・・)」
「うひゃぅ『役得!役得(^^)』」
半ば意識が飛びかけている少年――――シンジを殴りながらも小声で連絡を取る水野と八谷、そんな中、一人感触を楽しむ泉水・・・
かぷっ
「!?いったぁ〜」
そんなことを考えてる隙に、緩んだ手をおもっきり噛みつきその手の隙間から逃れると、倒れているシンジに覆い被さった。
「う・・・・あ、アスカ・・・・逃げて・・・」
「もうやめて!!お金ならあげますから!!」
「・・・・邪魔だ」
・・・ドンッ
涙を流しながら必死で訴え掛けるアスカを、無表情で突き飛ばす八谷その直後・・・・
バキッ
「あ、アスカに・・・て、手を出す・・・な・・・・・」
シンジの右拳が八谷の補を捉えた。しかし・・・・
「・・・ふん・・」
ドスッ
「ぐっ・・・・」
『あ、あれ?何であたしがこんなとこにいるのよ・・・・確か昨日の夜ベットに・・って!?』
「シンジ!!」
突き飛ばされたショックからか、はたまた単に薬の効果が切れたのか・・・・とにかく目が覚めたアスカの瞳に映ったのは鳩尾に膝がめり込み、崩れ落ちるシンジの姿だった。一瞬にして状況を把握すると、三人を押しのけ彼の元に駆け寄る。
「シンジ!シンジ!!しっかりしなさいよ!!!」
「・ス・・げて・・・・・・ア・カ・・て・・」
「!?何?なんて言ったの!!」
か細い声で譫言のように繰り返し呟くシンジの口に耳を近づける・・・・
「・・・アスカ逃げて・・・・アス・・・・」
それを聞いたアスカは、優しくシンジを地面に横たえると浮かんだ涙を乱暴に腕で拭き、立ち上がると、その光景を見ながら小声で会話をしていた三人に、低い声で話しかけながら振り返る・・・
「・・・あんた達・・よくもあたしのシンジを・・・その償いはとってもらうわよ・・」
ちなみに確認しておくが彼等三人はネルフの諜報部であり、プロである・・・もちろん格闘などのエキスパートでもあった・・・・はずだ・・・
「・・・シンジ・・・」
ビルの隙間に夕日に沈む公園で、膝枕をしている少女・・・・・
その膝の上で所々顔を腫らした少年が静かに寝息を立てている・・・
その少女は、その少年の名を呟くと・・・・・
そして二人の距離は・・・・・
ゼロになる・・・
後日談
ぼろ雑巾の様にぼてくりまわされた三人は、3ヶ月から半年の入院、翌日からかい半分でビデオを見せたミサトは二人から1ヶ月禁酒を強制させられ、自分の部下を一気に3人も失った加持はその責任を問いつめられ減棒6ヶ月・・・そして張本人であるリツコは、自室で休養中何者かに片っ端から研究室にあった薬を飲まされ2ヶ月入院したという・・・・合掌
とまあ、「彼女がかわった理由」シリーズ〜Ohtuki&Mizunoの場合”Drug”〜いかがだったでしょうか?(^^)初めて書いた短編なので少々・・・いや、かなり不安なのですが・・・・(^^;;
このシリーズは・・・詳しい説明はここでは省きますが・・・(^^;
とにかく、私がこの書き出しで始まるとこんな感じになるという一つの形です(^^)
何かお感じになった方がいればメールを出していただけると大変嬉しく思います(^^;
最後になりましたが、この企画を思いつき、一緒にやって下さった、たこはちさん、泉水君、そして、賛同下さった、ディオネアさん、IRCの場を提供して下さっている松光さん、そして、この突発的な企画を快く了解して下さった大家さん本当にありがとうございましたm(__)m
しばらくしていなかった
【○○HIT記念企画】・・・
いやー、久しぶりに出来ました(^^)/
・
・
・
本当のところは、
たこはちさん、泉水さん、そしてこのSSの作者である Ohtuki&Mizuno さんの
企画に後から便乗させて貰っただけなんですけどね(^^;
その【もうすぐ25万ヒット記念企画】オクトパすトーリー!
第一作『彼女がかわった理由 〜Drug〜』公開です!
ドンドンパフパフ〜♪
初っ端はLASっ
ラブラブっっ
”素直”になったアスカちゃん、
らぶりぃ〜 ←[© まっこう]
お淑やかになったあすかちゃん、
ス・テ・キ・・
でも、本当のアスカちゃんの魅力は
シンジくんが一番知っていますよね(^^)
さあ、訪問者の皆さん。
新企画の先鋒、Ohtuki&Mizunoさんに感想メールを送りましょう!
「役得」を連発していた泉水さんに死を・・・(^^;